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ロボットビジネスレビュー

ロボット業界に転身して、3年目。少しだけ、ロボットビジネスのことがわかってきました。その内容をまとめていくために始めました。羽田卓生(アスラテック株式会社、ロボットパイオニアフォーラム幹事)

加藤崇「無敵の仕事術」

加藤崇著「無敵の仕事術」を読みました。

タイトルからはビジネス書的な雰囲気だが、この書籍はロボットビジネスのドキュメンタリーだ。

そう、加藤氏は、グーグルが買収した東大発ベンチャーの元CFO。

現在は、ハイボットの米国法人のCEO。

日経ビジネスのオンラインでも連載を始められているので、

加藤 崇:日経ビジネスオンライン

ぜひ、こちらもご覧いただきたい。

 

こちらの書籍だが、シャフトとの出会いから、グーグルへの売却まで、

細やかに記述されている。

無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える! (文春新書)

無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える! (文春新書)

 

 シャフトのグーグルへの売却に関しては、あまり多くの情報がなかった。

この書籍が一番内容が詳しいと言えるのではないだろうか。

 

女性型ダンスロボット「AKB49」を用いたビジネルモデルが当初にあったことや、

そこから、DARPAロボティクスチャレンジに舵をきったこと。

また、VCから国から支援を断られて、最後にグーグルが助けてくれたことなど、

当事者ならではの内容になっている。

 

日本のロボットベンチャーが立ち上がるために重要なことして、

「共感」という言葉が多く使われている。

「共感」こそが、イノベーションを起こす原点なのだ。

 

日本に残された数少ないグローバルで戦える武器はロボットであり、

そのロボットが社会に広まることが社会問題の解決になると信じれるかどうか。

ロボット”ブーム”でなく、”産業”にするとハラをくくれるかどうか。

このような「共感」をどこまで広げれるかが重要と改めて思う。

AI、ロボットは雇用を奪うのか?→奪うが積極導入しないと大幅減

経産省が、27日に「第4次産業革命をリードする戦略的取組」を発表した。

その内容を報道した日経新聞によると、

経済産業省は27日、人工知能(AI)やロボットなどの技術革新によって、何も対応しなければ2030年度には国内雇用が735万人減るとの試算を発表した。労働力人口(15年平均)の1割強にあたる。海外企業にAIなどでビジネスの根幹を握られれば、日本企業の下請け化が進んで賃金の高い仕事が国内から流出すると警鐘を鳴らした。

 モノ作りでのAIやロボットの活用は欧米で「第4次産業革命」と呼ばれている。経産省は日本が第4次産業革命を主導するために、規制や教育の改革や業界の枠を越えた企業連携などを進められれば、雇用の減少は161万人に抑えられるとした。

AIやロボ、対応できないと雇用735万人減 30年度経産省試算 :日本経済新聞

とのこと。現状維持すれば、大きく雇用を失うが、積極的に変革すれば、そこまで大きく減らないとするものだ。

経産省の発表の原文はこちら。

http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shin_sangyoukouzou/pdf/008_05_01.pdf

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 この3Pがポイントとしてわかりやすいので、キャプチャーを張りました。

早く、痛みを伴う転換を行なって、世界での日本の競争力優位を保てるかどうかがポイントという考えだ。

P45の6のサービス(高代替確率)などは、変革で大きく雇用が失われるとなっている。

変革によって、伸びるのは、

・上流工程・・・経営戦略、研究開発など

・営業販売(低代替確率)・・・カスタマイズされた高額な保険商品の営業販売など

・IT業務 IoTビジネスの開発者、ITセキュリティ担当など

となってる。

現時点では、現状放置のほうが望ましい労働者のほうが多そうという話でもある。

 

AI、ロボットの導入における人の仕事を奪うという短絡な議論が多かった中、

ようやく具体的な議論ができるデータが出てきたという印象。

 

 

 

ロボット市場の規模の推察のための基礎データ

各ロボットの市場データが出てきたので、ちょっとまとめ。

 

Pepper

個人向けは、実質108万円。

現時点での、総販売台数は、1万1000台。

1万台超えのニュースソースは下記。

「ペッパー」で提携、マイクロソフトとも ソフトバンク :日本経済新聞

 

総販売価格が、現時点で約119億円。

このうち個人向けはの割合は不明。

 

まだセールスは続いているので、

3倍売れるなら、357億円。

5倍売れるなら、594億円。

10倍とすると、1190億円。

 

2Nao

販売価格は、100万円。

1万台売れたというのが、アルデバランジャパンより。

「ロボットパイオニアフォーラム008」参加レポート(前編) #robopf -ロボスタドットインフォ-

なので、100億円。

Pepperがあるので、セールスは鈍化するだろうけど、

まだ、売れ続けるはず。

 

3ロビ

週刊ロビの全巻購入金額が、約14万円。

日本だけで、12万台が完成見込み数。

なので、168億円。

完成までいかず、途中でやめた方もいるはずなので、

売上は規模はもっとあるはず。

海外での実績などは不明。

200億円はいくのだろうか?

 

現時点では、Pepperよりも、ロビのほうが規模が大きい。

 

4ロボホン

2年持ったときに、約25万円というのが、先日の投稿で調べた通り。

robot.hatenablog.jp

 報道では、月産5000台とのこと。

シャープ、ロボット電話「ロボホン」を5月26日に発売――価格は19万8000円 - ITmedia Mobile

年間6万台いくとすると、150億円となる。

ロビと同じ市場がまだあるとすれば、到達可能ではある。

 

5タピア

価格は、98,000円。

初回台数は、300台。

この分だと、約3000万円。

 

AIBO

過去事例だが、もう一度おさらい。

総シリーズで15万台販売。

ソニー「AIBO」の歴史に幕--7年間に全世界で15万台 - CNET Japan

価格は、ラインナップによって異なるが、

初代の25万円とラストの10万円の間として、18万円。

結果、270億円。

これに保守売上もあったはずなので、300億円は超えるであろう。

 

オムニボットシリーズや、Spheroなども規模は大きそう。

 

 

 

TAPIA(タピア)の料金プラン

MJIよりTAPIA(タピア)の販売予約開始が4月27日に発表された。

DMM.make.ROBOTSが国内優先販売権を取得したことも同時に発表。

すでに予約が可能 。

Tapia タピア|MJI|みまもりロボット

Tapia - 進化するライフパートナー - DMM.make ROBOTS

 

SIMスロットがあったりもするが、料金プランは極めてシンプル。

本体価格98,000円(税抜)以上。

とても分かりやすい。

 

ロボホンが少し複雑な料金プランであったが、タピアは本体価格のみ。

購入すれば、基本料金などの月額料金はなく、普通に使える。

 

日本での発売も期待されるjiboが、

749ドル(110円換算で、82,390円)なので、

まさにここを狙った価格設定であろうか。

https://www.indiegogo.com/projects/jibo-the-world-s-first-social-robot-for-the-home#/

 

強いて、国内で買える競合的なロボットをいうと、

タカラトミー オハナス(参考価格 21,384円)

になるかと思われる。

 

四肢がないコミュニケーション系ロボットの価格設定は、

10万円以下でどこまで下げれるかが価格帯の考え方になりそう。

ロボットパイオニアフォーラム 008 コミュニケーションロボット大集合のまとめ

ロボットパイオニアフォーラムジャパン | Robot Pioneer Forum is for robot lover and robot business.のRPF 008も今回も大盛況でした。

今回のテーマは、コミュニケーションロボット大集合。

昨今のロボットブームで、まずは立ち上がりを見せているのが、「コミュニケーションロボット」。

そんな「コミュニケーションロボット」を世界から集め、

勢ぞろいさせたのがこの企画。

参加いただいた企業とロボットは以下の通り。14社15ロボットも集合しました。

 

1 AKA / Musio

2 Aldebaran Robotics / Nao

3 CAC / Jibo

4  CAC / Buddy

5  DeAGOSTINI / Robi

6 DMM.make ROBOTS / Palmi

7 MJI / Tapia

8 Sharp / RoBoHoN

9 Vstone / Sota

10 タカラトミー / OHaNAS

11 テレノイド計画 / テレノイド

12 ユカイ工学 / Bocco

13 ユニロボット / unibo

14 ロボットゆうえんち / ナビゲーションロボット

15 ココロSB / Pepper

 

お馴染みのPepperから、今回初お披露目のロボット。アメリカや、フランスの新型コミュニケーションロボットに関するプレゼンもありました。

 

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これだけのロボットが揃うと本当に壮観!

 

しかし、各社とも戦略、製品の考え方がそれぞれ。

雑多ではありますが、どこにポイントがあるのかを列挙します。

 

 1 販売モデル

消費者(Consumer)向けか、法人(Business)向けの2種に大局されます。

Cだけなのが、

5  DeAGOSTINI / Robi、

8 Sharp / RoBoHoN

10 タカラトミー / OHaNAS

この中では、Robiが完成品でなく、週刊誌の付録という形態で、

ユーザーが組み立てるというスタイルなのが特殊。

 

Bだけなのが、

14 ロボットゆうえんち / ナビゲーションロボット

これは法人運用が前提とされたコミュニケーションロボット。

今回は登壇はなかったが、ココロのアクトロイドなども同じパタン。

 

それ以外は、Cより、Bよりのばらつきはあるが、

両方模索しているケースとなる。

 

2サイズ

等身大(120センチ以上)か、それ以下かで分けれる。

等身大なのは、

14 ロボットゆうえんち / ナビゲーションロボット

15 ココロSB / Pepper

の2種。

その次に、

2 Aldebaran Robotics / Nao

が約60センチと中間的サイズ。

それ以外は卓上サイズ。

 

3移動性

ロボット自身が移動できるかどうかの項目。

脚部あり+移動可、脚部なし+移動可、移動不可

と3パタンになる。

 

脚部あり+移動可なのが、

2 Aldebaran Robotics / Nao

5  DeAGOSTINI / Robi

6 DMM.make ROBOTS / Palmi

8 Sharp / RoBoHoN

の4種類。印象としては、人間ぽい感じが強い。

 

脚部なし+移動可は、

4  CAC / Buddy

15 ココロSB / Pepper

の2種。脚部あり+移動可よりもちゃんと移動を意識したゆえに、

タイヤ移動となっているのが特徴。

 

残りは、移動不可で、9種もある。

「コミュニケーション」を主軸においた場合は、

移動するこはマストの要件にならないのだろう。

 

4作業性

手と腕で何かができるかどうかの項目。

2 Aldebaran Robotics / Nao

14 ロボットゆうえんち / ナビゲーションロボット

15 ココロSB / Pepper

この3種だけが、何かを持つことができるロボット。

 

5情報表示

ディスプレイを使って、情報を表示できるかどうか。

情報表示用だけに、ディスプレイなどを持っているのは、

15 ココロSB / Pepper

8 Sharp / RoBoHoN

の2種だけだけ。

ロボホンに関しては、なんとプロジェクター内蔵なのだ。

 

顔がディスプレイで、表現を演出できるのは、

1 AKA / Musio

3 CAC / Jibo

4  CAC / Buddy

7 MJI / Tapia

10 タカラトミー / OHaNAS

13 ユニロボット / unibo

の6種。

ディスプレイなどは使ってないが、顔部をLEDなどで、

演出できるのがほとんど。

まったくそういう仕掛けがないのは、

11 テレノイド計画 / テレノイド

だけだ。

やはり、コミュニケーションと顔部。とくに目のあたりの演出は重要となる。

 

6通信機能

この15種のなかで、唯一ネット接続ができず、

スタンドアローンで使うのが、

5  DeAGOSTINI / Robi

ここには強い作り手のこだわりを感じられる。

 

他は、ネットに接続は何らかな方法で可能となっている。

この時点で確認できているものだけだが、

他に通信機器をつかわずに、単独で通信できるロボット、

ようは3G/4G回線を使うことができるのは、

1 AKA / Musio

7 MJI / Tapia

8 Sharp / RoBoHoN

の3種。

RoBoHoNは何せ電話なので当然使える。

 

あまねく、ユーザーを拾いにいく商品で、

通信機能が必要な場合などは、

SIMスロット搭載が必要になってくるのであろうな。

 

7コミュニケーションの用途

さて、この項目で悩みました。

コミュニケーションって、とてつもなく広い意味の言葉。

 「コミュニケーション」という語は多種多様な用いられ方をしている。

ウィキペディアによると、

「コミュニケーション」という語は多種多様な用いられ方をしている。

辞典類ではまず、人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達[1][3]、などといった簡素な定義文が掲載されている。

ただし、上記のような定義文では不十分で、一般に「コミュニケーション」というのは、情報の伝達だけが起きれば充分に成立したとは見なされておらず、人間と人間の間で、《意志の疎通》が行われたり、《気持ちの通い合い》が行われたり、《互いに理解し合う》ことが起きて、はじめてコミュニケーションが成立した、とされている、といった説明を補っているものもある [4]

学術的には、一般的な用法から離れて、広義に用いることがあり、記号などの何らかの因子の移動を伴う、ある分けられる事象間の相互作用の過程をコミュニケーションと呼ぶことがある。

となっている。

今回のロボットの中で、

明確にその役割を定義していたのは、

1 AKA / Musio

の英語学習のためのコミュニケーションだけであろうか。

Musioは、そこがスタートではあるが、広範囲のコミュニケーションを目指しているようにも思える。

 

誰のための、何のための、どういうコミュニケーションか?

この部分に関しては、もう少し考察が必要なので、

次回にしたい。

また、言語系のコミュニケーションのキーである、

音声認識

音声合成

などがどこのエンジンを使っているかや、

使われているOS、CPU、アクチュエーターの分類なども追ってやっていきたい。

 

 

 

 

ロボホンの料金プラン

シャープのロボホンがついに発売開始が発表になりました。

5月より出荷が始まります。

これと同時に、本体価格や料金プランも発表になりました。

 

ロボホンはロボットでありますが、もちろん電話。

電話として使うためには、音声通信が必要になります。

 

ロボホン本体+ココロプラン(基本サービス)+保守プラン+通信サービス

 

という構造になりました。

 

・本体価格・・・1種類で198,000円

本体だけだと契約できなくなっており、

ココロプランの契約が必須になっております。

 

・ココロプラン・・・2種類

  1 ココロプランベーシック・・・980円/月

  通信サービスなしのモデル。自分で、SIMかWiFiを用意する必要がある。

       契約の月数の縛りはなし。

  2 ココロプランモバイル・・・2,980円/月

       ココロプランと音声、通信サービスとセットになったプラン。

 

・保守サービス・・・2種類

 1 ケアプラン50・・・990円/月

 2 ケアプラン70・・・1,650円月

 上記の違いは修理時の値引率。ケアプラン50だと50%引き。70だと70%引き。

 シャープのサイトにはいかにような説明があります。

割引対象
・ メーカー保証期間(1年)経過後の自然故障
・ お客様の過失による破損や水濡れ等
・ 消耗部品(電池やサーボ等)の交換等
ご注意 
・保守パックはロボホンのご購入時に同時にお申し込みください。購入後に加入することはできません。
・期間は5年となります。(途中解約可能)
・修理は年何回でも依頼する事は可能ですが、割引適応が年3回までとなります。
・割引は、ロボホンの機能に影響しない不具合(傷、汚れ等)を除きます。
・保守パックは解約後の再加入はできません。
・途中解約した場合でも、今までお支払いただいた料金の返金は行いません。
・修理にかかる送料はお客様負担となります。送料は2,300円です。 

この判断はユーザーにはなかなか難しいのではないでしょうか。

・よくある故障とその故障の修理代はいくらくらい?

・その発生頻度はどれくらい?

が想像できない。

やはり、ロボットなので動かしていると壊れるものです。

とくにサーボモーター。

このロボホンにも1個5,000円くらいするであろうサーボモーターが13個使われている。

これが壊れたら、1回あたり技術料と送料もいれて、1万円は超えてくるのではないかと想像しました。

 

通信サービス・・・6種類

音声ありなし、容量別になっており、650円から。

音声ありの場合は、1,350円から。

別途、開通事務手数料で3,200円。

回線は、NTTドコモ網を使った、シャープのロボホン向けのMVNO。

回線に関しては、1年間の縛り付き。

 

ということで、ロボホンで電話することは諦めて、

手持ちのWiFiを使う、

保守プランは必要だろうな

という前提でいくと、

・本体+ココロベーシック+ケアプラン50

となります。

 

2年は遊びたいとすれば、

198,000円+23,520円+23,760円=245,280円

となります。

ここに2年の間におきる故障の修理代をいくらと考えるか。

 

この後、発売が予定されているロボットも、

SIMスロットが搭載されているものがあります。

これらのロボットも、

ロボホン同様に、

・本体+基本料金+保守サービス+通信サービス

となるのか、それとも違うプランを編み出していくのか楽しみです。

 

ロボホン

Alphabet(旧Google)のRobot部門で何が起きている?

Schaftが、NEST2016で、二足歩行ロボットのデモを行った。中西CEOも久しぶりにメディアに姿を現したことになる。やはり、いつも通り、FCバルセロナのユニフォーム姿で。

NESTでの様子はこちらに詳しく掲載されている。

Alphabet(旧Google)の秘蔵っ子、日本のSchaftが新しい二足ロボットをデモ | TechCrunch Japan

 

また、NEST2016のプログラムはこちら。

新経済サミット(NEST) 2016 |New Economy Summit (NEST) 2016|EventRegist(イベントレジスト)

 

この中の、

アンディ・ルービン(Playground Global 創業者兼CEO)

の登壇枠でデモが行われた模様。

 

アンディ・ルービンと言えば、元Googleの副社長で、彼がこのSchaftや、売却の話が出ているBostondynamicsの買収を進めた人物。

もう、Googleと関係ない人間の講演で、なぜ?

 

また、まったく、情報が出てきていなかった、Schaftの久々の登場が、NEST2016というのも少し地味にも感じる。

Alphabet(旧Google)のRobot部門の動きはまったく謎だ。